nove

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ドクン、て。 さっきとは全然違う意味で、心臓が大きく跳ねた。 本田……さん? なんで今……本田さんの名前が、出てくるの? 「…………え?」 気が付けば、渇いた笑いが口から零れてしまっていた。 私は右耳に髪をかけながら、差し出された紙切れと忍くんを交互に見比べる。 「………え、何。……意味、わかんないんだけど」 「……………」 「本田さんの連絡先……って、何それ」 最後は少し、責めるような口調になってしまっていた。 忍くんは項垂れたまま、引き絞るように口を開いた。 「………真白さんのこと、本気だからって、言われて……」 「……………」 「もし真白さんがよかったら、連絡ほしいって。……これ、渡してくれって、頼まれて……」 そこまで聞いた私は、忍くんからその紙切れをバッと奪い取っていた。 忍くんは驚いたように顔を上げる。 そうして私の顔を見て、ハッと目を見張った。 「忍くんは……それでいいんだね」 そう口にすると同時に、溢れ出た涙が一気に頬を滑り落ちた。  
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