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ドクン、て。
さっきとは全然違う意味で、心臓が大きく跳ねた。
本田……さん?
なんで今……本田さんの名前が、出てくるの?
「…………え?」
気が付けば、渇いた笑いが口から零れてしまっていた。
私は右耳に髪をかけながら、差し出された紙切れと忍くんを交互に見比べる。
「………え、何。……意味、わかんないんだけど」
「……………」
「本田さんの連絡先……って、何それ」
最後は少し、責めるような口調になってしまっていた。
忍くんは項垂れたまま、引き絞るように口を開いた。
「………真白さんのこと、本気だからって、言われて……」
「……………」
「もし真白さんがよかったら、連絡ほしいって。……これ、渡してくれって、頼まれて……」
そこまで聞いた私は、忍くんからその紙切れをバッと奪い取っていた。
忍くんは驚いたように顔を上げる。
そうして私の顔を見て、ハッと目を見張った。
「忍くんは……それでいいんだね」
そう口にすると同時に、溢れ出た涙が一気に頬を滑り落ちた。
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