nove

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「私が本田さんに連絡しても、忍くんにはどうでもいいことなんだね!」 「……っ、ちが…っ」 「────もういい!」 手にした紙切れを無造作にバッグに突っ込み、私はコートを手にしてスッと立ち上がった。 「………連絡、すればいいんでしょ」 「真白さ……」 「もう、帰る」 捨て台詞のように言い、私は忍くんの横を通り過ぎてスタスタとドアへと向かった。 悔しくて、ショックで。 涙が後から後から溢れてくる。 髪に触れられて、一人で勝手に舞い上がって、ドキドキして。 そのすぐ後で、他の男の人の連絡先を渡されたんじゃ、笑い話にもならない。 ────やっぱり私は、恋なんかしちゃいけなかったんだ。 新しい恋をする資格なんか、私にはなかったんだ。 「────真白さん!!」 玄関へ向かう廊下の途中で。 追いかけてきた忍くんに、強く肩を掴まれた。 そのままグルッと勢いよく振り向かされる。 「……………っ」 忍くんの顔が涙でじわりと滲み、私はたまらず彼の腕を振り払おうとした。  
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