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「………………」
忍くんは、サラサラと私の髪を優しく梳いてくれた。
彼の体温と、その手つきが心地よくて、私はそっと目を閉じる。
時折忍くんは、思い出したように唇を重ねてきた。
「…………ねぇ」
「ん?」
しばらく私達はそうやって、ベッドの上でじゃれあうように抱き合っていた。
ふと声をかけると、忍くんは不思議そうに私の顔を見つめた。
「………本田さんに連絡、した方がいい?」
「……………」
少し嫌味を込めた口調で問うと、忍くんはうっと言葉に詰まってゆっくりと顔を上げた。
ベッドに頬杖をつきながら、恨めしそうな目で私の顔を見下ろす。
「意地悪だね、真白さんは」
「………ふふっ」
思わず吹き出すと。
忍くんは私の腕を引いて、再びぎゅっと、私の体を強く抱きしめた。
「しなくていいよ。……俺からちゃんと、言うから」
「……………」
「真白さんは俺のだからって、ちゃんと言う」
押し当てた胸の、彼の優しい鼓動を聞きながら。
私はこくり、と小さく頷いた。
「…………うん」
忍くんの両手が私の両肩を掴んで、優しく体を引き離す。
お互いの気持ちを確かめるように頷き合ったあと。
私達は、もう一度深く唇を重ねた。
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