nove-2

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「……………っ」 今度のキスは、さっきの触れるだけのキスとは違って、深く長いものだった。 忍くんの大きな手が後頭部に回されて、強く体を引き寄せられる。 私も彼の背中に手を回して、それに応える。 ──── 忍くんと、キスしてる。 心はかなり昂揚して、身体中が熱くなっているのに。 彼の唇を感じながら、冷静にそんなことを俯瞰で思う自分もいた。 初めて好きになった人の、弟だった人。 最初はホントにただそれだけで。 顔を合わせても、話しかけても、ろくに反応してくれない彼を、少し苦手にすら思っていたのに。 ………まさか忍くんが、秘かに私を想ってくれていたなんて、全く気付かなかった。 今思えば、きっと私とどう接していいのかわからなかったんだろうなって。 不器用な忍くんらしいな、って思えるけど。 透さんがいなくなって、二度と会うことなんてないと思ってたのに。 ──── 不思議だね。 こんなにこんなに、あなたのことを好きになってしまうなんて。 「…………ん」 唇が離れては、また重ねる。 そんなことを何度か繰り返しているうちに。 いつの間にか私達は、ベッドの上に折り重なるように倒れ込んでいた。  
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