nove-2

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忍くんの手が、悔しげにブルブルと震え出した。 それを手首伝いで感じながら、私の体からゆるゆると力が抜けていく。 「………………」 それを感じたのか、忍くんの手の力も次第に弱くなっていった。 私は忍くんの手をほどき、溢れた涙を手の甲で拭った。 ────忍くんの行動は、確かに理にかなってるのかもしれないけど。 でも、それでも。 やっぱり私は、その場で断ってほしかった。 「………本田さんには、連絡しない」 涙を拭いながら呟くと、忍くんはハッと私の顔を見下ろした。 「真白さ……」 「────私もう、一生恋愛するつもりないから」 「……………」 忍くんの顔色が変わったのがわかったけど、私はそれに気付かないふりをして、落ちたコートを拾おうとした。 その手を、忍くんが強く掴む。 「…………っ」 「何だよそれ!!」 激昂したような声に驚いて振り仰ぐと、さっきまでとは表情を一変させた忍くんの顔があった。 あまりの迫力と、掴まれた手の痛みに私は思わず身をすくませた。  
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