dieci

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気が付けば私は、パジャマのボタンに手をかけてそれを勢いよく脱ぎ始めていた。 明日着ていく予定だった服に、急いで袖を通す。 声を聞いたらまた会いたくなる気持ちなら、覚えてる。 でもこんな風に、思い立って我慢出来なくなって、衝動的に動いてしまうなんて、生まれて初めてのことだった。 会いたい。 会いたい。 忍くんに、会いたい。 戸惑う自分もいたけれど、今はそれだけで充分だった。 きっとこれが、恋なんだ。 理性と切り離されたところで動く感情。 そんな自分をなんてバカなのって思うけど。 そんなバカなことしてる自分が、今は愛しい。 こんな気持ち、一生経験することなんてないって思ってたのに……。 「──── よし」 簡単にメイクを済ませたあと、鏡の中に映った自分を見ながら深く頷き。 コートとプレゼントを掴んで、私は部屋を飛び出した。  
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