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気が付けば私は、パジャマのボタンに手をかけてそれを勢いよく脱ぎ始めていた。
明日着ていく予定だった服に、急いで袖を通す。
声を聞いたらまた会いたくなる気持ちなら、覚えてる。
でもこんな風に、思い立って我慢出来なくなって、衝動的に動いてしまうなんて、生まれて初めてのことだった。
会いたい。
会いたい。
忍くんに、会いたい。
戸惑う自分もいたけれど、今はそれだけで充分だった。
きっとこれが、恋なんだ。
理性と切り離されたところで動く感情。
そんな自分をなんてバカなのって思うけど。
そんなバカなことしてる自分が、今は愛しい。
こんな気持ち、一生経験することなんてないって思ってたのに……。
「──── よし」
簡単にメイクを済ませたあと、鏡の中に映った自分を見ながら深く頷き。
コートとプレゼントを掴んで、私は部屋を飛び出した。
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