dieci

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「………じゃあ。……よろしくお願いします」 その場で深々とお辞儀をすると。 本田さんは一瞬だけびっくりしたようだったけど、すぐにニコッと屈託ない笑顔を見せた。 「オッケー。じゃあ、行こっか」 本田さんのその言葉を合図に、私達は並んで自宅方向へ向かって歩き始めた。 すぐに本田さんは、話題を振ってくる。 「もしかして女子会?」 「………はい、まぁ。……本田さんは?」 「仕事帰りだよー」 疲れた様子もなく、本田さんは明るく答えた。 忍くんから聞いてはいたけど、ホントにこんな時間まで仕事してるんだ……。 そう思うと、腰掛けみたいな仕事の仕方をしてる自分が、恥ずかしくなってくる。 ──── 私も何か、忍くんみたいな大きな目標を持って生きてみたい。 「そういや、忍と上手くいったんだって?」 思考を破られて、私はハッと本田さんの顔を仰ぐ。 目が合うと、本田さんは今までとは違うどこか柔らかい笑みを浮かべた。 「よかったじゃん。おめでとー」   それを聞いた私は、ピタッと足を止める。 歩みを止めた私を、本田さんは不思議そうに振り返った。  
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