dieci

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「一体……何がしたかったんですか?」 本田さんの顔を真っ直ぐに見つめながら言うと、本田さんは体ごとゆっくりとこっちに向き直った。 私は言葉を続ける。 「いくら私が男の人に慣れてないからって、本田さんが私のことなんか何とも思ってないことぐらいはわかります」 「……………」 「それなのにあんなに執拗にチョッカイかけてきたのは、何故なんですか?」 すると本田さんは、コートのポケットに手を突っ込んだままクスッと笑って肩をすくめた。 私が眉をひそめると、何故かすぐ横にあった自販機にトコトコと歩み寄り。 「寒いから。どーぞ」 と言って、2本買ったコーヒーの缶の1本を私に手渡してきた。 困惑しながら無言でそれを受け取ると、本田さんは一度笑顔を見せてから再び歩き始めた。 慌てて私はその後を追う。 「結果的に、上手くいったでしょ」 「……………」 「初めて会った日に言ったじゃん。忍は真白ちゃんに惚れてるって。……真白ちゃんは否定してたけどさ、ハッキリ言ってバレバレだったし」 パキッと音を立ててタブを開け、本田さんはコーヒーに口を付けた。  
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