dieci

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「あんな性格の忍に近付いてって、ゆっくりと心開かせたのは萌だからさ。萌自身、自分が一番忍の近くにいるって思ってたと思うんだよ」 「……………」 「さっさとコクればって言ったら、自分も忍もまだ半人前で時期じゃないし、想いを伝えるのはもう少し後にするって……そう言ってさ」 ズキッと、私の胸が激しい痛みを覚える。 何も言えなくて、私はただ黙って本田さんの声に耳を傾けていた。 「そこへ突然真白ちゃんの登場!でさ。あからさまに忍の気持ちが見えて、萌自身納得できないとこもあったんじゃねーかな……」 「……………」 「確かにあのままいったら、いずれはあの二人付き合うようになってたんじゃねーかなって思うし。……忍だって、告白されれば萌のこと女として意識しただろーし」 そこで本田さんはハッと口を噤み、慌てて私に向かって笑顔を見せた。 「いや、だからって真白ちゃんは何も気にすることないんだけどね」 「……………」 「恋愛なんて、タイミングが全てだからさ」 俯き加減で歩く私の肩を、本田さんは励ますようにポンと叩いた。 「萌がそのタイミングを、ものに出来なかったってだけの話」  
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