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「あんな性格の忍に近付いてって、ゆっくりと心開かせたのは萌だからさ。萌自身、自分が一番忍の近くにいるって思ってたと思うんだよ」
「……………」
「さっさとコクればって言ったら、自分も忍もまだ半人前で時期じゃないし、想いを伝えるのはもう少し後にするって……そう言ってさ」
ズキッと、私の胸が激しい痛みを覚える。
何も言えなくて、私はただ黙って本田さんの声に耳を傾けていた。
「そこへ突然真白ちゃんの登場!でさ。あからさまに忍の気持ちが見えて、萌自身納得できないとこもあったんじゃねーかな……」
「……………」
「確かにあのままいったら、いずれはあの二人付き合うようになってたんじゃねーかなって思うし。……忍だって、告白されれば萌のこと女として意識しただろーし」
そこで本田さんはハッと口を噤み、慌てて私に向かって笑顔を見せた。
「いや、だからって真白ちゃんは何も気にすることないんだけどね」
「……………」
「恋愛なんて、タイミングが全てだからさ」
俯き加減で歩く私の肩を、本田さんは励ますようにポンと叩いた。
「萌がそのタイミングを、ものに出来なかったってだけの話」
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