dieci

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のろのろと、本田さんの顔を見上げる。 本田さんは、ん、と言って微笑みながら頷いた。 「鈍感って……時に残酷だと思うんだよ。気付かなければ、トドメも差してやれない」 「……………」 「忍がハッキリしないせいで、一縷の望みにしがみついてる萌が痛々しくて、見てらんなかった。……ホントは自分でもわかってると思うのに。……決定的なことがなければ、アイツ自身も認められねーんだろーなー、と思って」 そこでまた、本田さんはコーヒーを一口喉に流し込んだ。 「だからさ、ハッキリさせてやろうと思った訳。ライバルが出てきたら、さすがに忍でも動くだろーって思ってさ」 「……………」 「荒療治に近かったけど、今朝アイツから『真白さんは俺のなんで、2度とチョッカイかけないでください』ってハッキリ言われて……心底ホッとしたわ」 ふうっと大きく息をついた本田さんだったけど、すぐに『あ』と言って私の顔を見下ろした。 「まぁ、そのせいで真白ちゃんに嫌な思いさせたのは、悪かったなって思ってる」 「……………」 「マジでごめんね?」 本田さんは手を合わせて軽く頭を下げたけど……。 私は何も反応を返すことが出来ないでいた。  
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