302人が本棚に入れています
本棚に追加
「でもまぁ……確かにそうかもしんねーんだよなー…」
意味がわからずに黙り込む私を尻目に、本田さんは一転困ったような表情でガリガリと後頭部を掻きむしった。
「なーんかあれ以来、萌の様子がおかしいっつーか……」
「え？」
「忍のこと諦める様子もなくて。……むしろ前よりも甘え方がパワーアップしてる感じ？」
それを聞いた私の心は、ザワザワと波立ち始める。
………もしかして古川さん、忍くんのこと諦める気、ないとか？
ちゃんと想いを忍くんに伝えて、私と古川さんのどちらかを選ばせるつもり、とか……。
だとしたら、忍くんはどうするんだろう。
元々スゴく仲がよくて、信頼関係もあって、尚且つあんなに可愛い子に本気で告白されたら……。
ぐらつかない男の人なんているんだろうか ───。
「あー、大丈夫大丈夫。そんな顔しないで」
青ざめる私に気付いた本田さんが、慌ててフォローするように両手を左右に振った。
「まだ真白ちゃんと上手くいったってこと、忍は萌には言ってないはずだし。……さすがに本人から聞かされたら、萌も諦めざるを得ないでしょ」
「……………」
「万が一萌が告白したとしても、忍は大丈夫だよ」
最初のコメントを投稿しよう！