dieci

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不安げに本田さんの顔を見上げると、本田さんは屈託なくニッコリと微笑んだ。 悔しいけど、キッパリ大丈夫だって言われて、私は心なしかホッとしてしまう。 そう……だよね。 忍くんなら、大丈夫だよね。 「まぁさすがに何にもないとは思うけど。もしなんか困ったことあったら、いつでも連絡して?」 「え?」 「渡したでしょ、連絡先」 「……………」 ──── そう言えばあの紙、どこにやったっけ? あのあとのドサクサに紛れて、すっかり忘れてた。 「………いえ。……あれは、破って捨てました」 「ええっ!? 酷くないっ!?」 にべもなく言うと、本田さんはさすがに傷付いたような声を出した。 ホントはそんなことしてないけど。 困ったことがあったとしても、私は全部忍くんに相談するから。 本田さんに連絡することは、多分一生ないだろう……。 「ちぇー。まぁいっかー。影で連絡取ってるの忍にバレたら大変だしねー」 はーっと大きな溜め息を付きながら、本田さんは肩をすくめる。 その様子が何となく可笑しくて、私はついクスッと笑ってしまった。   すると本田さんは『お』と言って、私の顔を覗き込むように膝を折った。  
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