dieci

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「ク……クリスマス?」 『うん。日にちはズレるけどさ、休みが合わせられるなら、……その』 「…………?」 『外でデート…ってのも。……新鮮でいいかなー…と』 忍くんの声は、少し照れているみたいだった。 今どんな顔をしているのか何となく想像出来てしまって、私は内心でクスッと笑ってしまう。 「──── うん。行きたい」 そっと涙を拭いながら答えると、忍くんはどこかホッとしたように息をついた。 『じゃあ、また、木曜日に相談しよっか』 「うん。そうだね」 『………それじゃ、切るね。遅くにごめん』 「ううん。……嬉しかった」 そこで私はぎゅっと強く、スマホを握りしめた。 「ホントに、ホントに、おめでとう。忍くん」 言いながらまた込み上げるものがあって、涙を含んだ声で最後に言うと。 忍くんはほんの少しの沈黙の後。 『ありがとう』 とだけ、呟いた。 その声も、何だか震えているような気がして。 …………もしかしたら忍くんも、泣いてるのかもしれないって。 そう、思った。  
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