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「ク……クリスマス?」
『うん。日にちはズレるけどさ、休みが合わせられるなら、……その』
「…………?」
『外でデート…ってのも。……新鮮でいいかなー…と』
忍くんの声は、少し照れているみたいだった。
今どんな顔をしているのか何となく想像出来てしまって、私は内心でクスッと笑ってしまう。
「──── うん。行きたい」
そっと涙を拭いながら答えると、忍くんはどこかホッとしたように息をついた。
『じゃあ、また、木曜日に相談しよっか』
「うん。そうだね」
『………それじゃ、切るね。遅くにごめん』
「ううん。……嬉しかった」
そこで私はぎゅっと強く、スマホを握りしめた。
「ホントに、ホントに、おめでとう。忍くん」
言いながらまた込み上げるものがあって、涙を含んだ声で最後に言うと。
忍くんはほんの少しの沈黙の後。
『ありがとう』
とだけ、呟いた。
その声も、何だか震えているような気がして。
…………もしかしたら忍くんも、泣いてるのかもしれないって。
そう、思った。
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