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お互いにおやすみ、と声をかけあって電話を切ったあと。
私はしばらく、放心状態だった。
コンペで、忍くんのドルチェが選ばれて。
初めての外でのデートも決まって。
今私、最高潮に幸せだ──…。
(………忍くん……)
まだ耳に残った忍くんの声を思い出して、胸がきゅんと疼く。
最初は連絡くれるならメールだけでもいいって思ってたのに。
声を聞いたら、それだけじゃ物足りなくなって。
何だか今ものすごく、忍くんに会いたくなってきてしまった。
「……………」
その時ふと、タンスの上に乗せていたプレゼント用のシャンパンが目に留まった。
忍くんのドルチェが選ばれた時の為に買った、お祝いのシャンパン。
(………これ。……今、渡しに行っちゃダメかな)
そんな考えがふと頭をよぎり、体がそわそわと浮き足立つ。
いやいや、有り得ないよ。
もうこんな時間だし、忍くんだって疲れてるだろうし。
いきなり押し掛けたって……迷惑なだけ、だよね?
………でも。
ちょっと顔見て、これ渡してすぐに帰るぐらい……なら。
大丈夫……かな。
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