dieci

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「でも、ま、忍くんのお祝いの前に、まずは真白におめでとう、だね」 「………え?」 「7年ぶりの恋が上手くいって、よかったね」 軽く目を見張ると、ハラちゃんは頬杖をつきながらニコッと嬉しそうに微笑んだ。 「真白の葛藤とかそういうの、全部側で見てたからさ。素直に嬉しいよ」 「…………ハラちゃん」 「これできっと、透さんも安心だね」 うってかわっての温かい言葉に、私の目頭がぐっと熱くなる。 ………腫れ物に触るように周りに扱われるなか。 ハラちゃんだけは、本音で私に接してくれて。 たまにぶつけられる言葉が正論すぎて、胸が痛い時もあったけど。 でもホントは、凄くそれが有り難かった。 「………ありがとう。……ハラちゃん」 「あーもう、しんみりしないでよー」 「………だ、だって」 「言っとくけど、付き合ってからの方が実は色々あるんだからね」 目元を拭う私の頭をぽんぽん、と優しく撫でながら、ハラちゃんはそっと苦笑した。 私は鼻を啜りながら、こくりと頷く。 「………うん。わかってる」 キッパリと答えると、ハラちゃんはもう一度ニッコリ笑い、ビールのジョッキを手にした。 「それじゃあ、真白の新しい恋に乾杯」 それを聞いて、私も慌ててそれを手にして。 ありがとう、と呟きながら、カチンと互いのジョッキを合わせた。  
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