dieci

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※※※※※※ お店を出てハラちゃんと別れた時には、時間は11時を回っていた。 さすがに遅いので、私はロータリーのタクシー乗り場へ向かう。 金曜日だからか、そろそろ忘年会シーズンだからかはわからないけど、いつもより乗り場は混雑しているような気がした。 (………寒いなー……) 列の一番後ろに並びながら、寒さで首をすくめる。 ほどよく酔ってポカポカしていた体が、一気に冷めていくような感覚を覚えた。 (もうコンペは、終わってるよね……) 次々に何処からか帰ってきて列をなすタクシーのテールランプをぼんやり見つめながら、私は忍くんのことを思う。 忍くん……どうだったかな。 ちゃんと実力、発揮出来たかな。 ──── 昨日のあのドルチェ、選ばれるといいな。 「あっれぇ? 真白ちゃんじゃない?」 忍くんのことを考えて少しまた体が温まってきたかと思った、その矢先。 私の心と反比例するかのような、軽い調子の声が背後から聞こえてきた。 「……………」 嫌な予感を覚えて恐る恐る振り返ると。 こちらに向かってヒラヒラと手を振る、本田さんの姿がそこにあった。  
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