dieci

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嫌な予感が的中して、私は露骨に顔をしかめる。 けれども本田さんは一向に構う様子もなく、ニコニコと笑顔でこちらに歩いてきた。 「やっぱり真白ちゃんだ。いやー、偶然だねぇ」 「…………こんばんは」 無視をする訳にもいかず、私はとりあえず頭を下げる。 もうあと少しでタクシーの順番が来る、というところで本田さんに捕まってしまい、仕方なく私は列から離れることにした。 「あれっ? 顔赤い?」 「……………」 「もしかして酔ってる? 可愛いー」 相変わらずの飄々とした様子がどうにも理解できなくて、私は無言で本田さんの顔を軽く睨むように見上げる。 ………だって、この人が訳のわからない行動を取ったせいで、私と忍くんは散々振り回されて気持ちを掻き回されたんだから。 私の無言の非難が伝わったのか、本田さんは身を起こしてニッと笑った。 「送ったげるよ、真白ちゃん」 「え。………でも」 「どうせ同じ方向でしょ。タクシー代も浮くよ?」 「……………」 正直タクシー代なんて、どうでもよかったけど。 一度この人と二人でじっくり話して、一体何を考えているのか、その真意を知りたいと。 酔いのせいもあってか、私はそんな風に思ってしまった。  
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