dieci-2

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「ちょっと……何してるの、真白!?」 玄関でブーツを履いていると、物音に気付いたお母さんがリビングから飛び出してきた。 お父さんはどうやら、今入浴中らしい。 履き終わった私はスックと立ち上がり、くるっとお母さんを振り返った。 「ちょっと出掛けてくる」 「な……。こんな時間に何バカなこと言ってるの!」 「………でも」 「最近あなた、どこかおかしいわよ? ……あんまり聞かないようにはしてたけど……」 お母さんの顔が、不安げに曇る。 ──── 透さんのことがあってから、二人にはいつもこんな顔をさせていた。 心配してくれてるのをわかっていて、私は気付かないふりをして。 ずっとお互い、奥の方まで踏み込まなかった。 でも今は、ちゃんと言いたい。 私は前に進めたんだよって……お母さんに言いたい。 「──── 私、好きな人が出来たの!」 大きな声で叫ぶと、お母さんは驚いたように目を見張った。 私はお母さんの顔を見上げながら、持っていたプレゼントをぎゅっと胸に抱きしめた。 「7年かかって、やっと前に進めたの! ……何も言わなくて心配かけたのは悪かったって思ってる。……でも、おかしかったのは恋してたからなの!」 「……………」 「今その人に会いたいの! 今じゃなきゃダメなの!」  
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