dieci-2

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「……………」 お母さんは始め、私が何を言っているのか理解できていないみたいだった。 いつも深い話をすることから逃げ腰だった私が、真っ直ぐに凛とお母さんを見上げているせいか、困惑したようにウロウロと瞳が泳ぐ。 「………お願いします。……行かせてください」 今度はしっかりと落ち着いた声で言い、私はお母さんに向かって深く頭を下げた。 「……………」 ──── しばらくして。 頭上から、ハアッと大きな溜め息が聞こえてきて、私は恐る恐る顔を上げた。 目を瞑って首を横に振るお母さんが視界に映る。 それは、ダメっていう否定的なものではなくて……。 仕方ないわねぇ、という、諦めのような仕草だった。 「………これだけは忘れないでちょうだい。……お父さんとお母さんは、いつだって真白を心配してるのよ」 「……………」 「もう子供じゃないんだから、自分の行動にはちゃんと責任を持つこと。……わかった?」 そう言いながらも、声色は小さい子供を諭すように優しくて。 私は唇を噛み締めながら、コクコクと何度も頷いた。  
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