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(………どうしよう。……私、ものスッゴい迷惑なことしてるんじゃ……)
時間は既に日付が変わるかという頃。
忍くんだって疲れてるだろうし、明日も仕事なんだし。
もしかしたらもう……寝てるかもしれないよね。
「……………」
持ってきたプレゼントを胸に抱きしめて、私はしばらくの間逡巡していた。
全力で走ってきてポカポカしていた体が急激に冷えていくのを感じ、私はプルプルと首を横に振った。
(渡して、おめでとうって言ったらすぐに帰ればいいんだから! ここまで来たんだから、尻込みするな真白!)
ごくっと唾を飲み込んで、私は震える指をインターホンに近付ける。
えいっ!という気合いと共にそれを押すと、ピンポーンというチャイムの音がいつもより大きく響いた気がした。
(お、押しちゃったよ~~)
寒さのせいなのか何なのか、私の全身はブルッと一度大きく震えた。
一拍の後。
『…………はい?』
という、訝しげな忍くんの声がインターホン越しに聞こえてきた。
明らかに遅い時間の訪問者を警戒するような声で。
私は慌てて口を開いた。
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