第一章 禁断のゼーンズフト ♯1

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…やまないなぁ。 雨水が筋を作って流れてゆく窓ガラス越しに、グレーがかった街を見つめる。 音楽室の鍵を開けて20分ほど。 …居るのは、いまだに僕ひとり。 『…本日、神戸市に大雨洪水警報が発令されています。空の便ですが、7:35神戸空港発、羽田着フライトは遅延となっています。その他、阪神鉄道…』 スマフォから流れる気象情報のラジオは、変わらない情報を何度も繰り返す。 昨日も、一昨日も、その前の日も、雨が降り続けてやまない。今日なんて音を立てて窓ガラスを叩きつけている。 爽やかな朝とは程遠い。まぁ梅雨入りしてしまったのだから仕方がないけれど…。 それにしても、生徒たちは大丈夫だろうか?登校で大変な思いをしてしまうのは、とても気の毒だ。 時計は6:50になっていた。
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