第1章 日常の終わりと共に

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まだ騒ぎが収まらない。たまに見る程度ならいいけど近くでやられると結構迷惑だな。 視界の端に赤い髪が揺れる。 「気のせいか? 一瞬・・・・・・」 騒ぎが収まった。先輩がどっか行ったのか。 「桂木、先生が来たぞ。席に座れ」 将生に言われて席に戻る。それと同時に先生が教室に入ってきて出席をとる。 さっきの赤い髪は見間違いか。なんかもう軽いホラーだな。俺が気にしすぎてんのかもしれないけど。 それにしてもどうしようか。火野村先輩が悪魔だとして・・・・・・天使に連絡しようか。いや、それは危険か。 「・・・・・・なるようになるか」 誰にも聞こえないように呟いた。 放課後になった。おかしいことはなんも起こらなかった。その代わりさっきから変な視線を感じる。火野村先輩か? 周りを見ても火野村先輩の姿は見えない。じゃあ別の悪魔か? 火野村先輩の仲間とか・・・・・・。 「春くん、買い物行かないの?」 後ろから肩を叩かれた。悪魔か!? 「なんだ、日向と桜か」 後ろにいたのは昔から知っている幼馴染みの二人だった。心臓飛び出るかと思った。 「どうしたのですか? 体を跳ね上がらせて」 「後ろから声をかけられたら誰だって驚くよ」 「でも放課後は毎日一緒に買い物に行ってるじゃん。だから驚かなくてもいいと思うんだ」 「はいはい、ごめんなさい。じゃあ行こうぜ。白が待ってるし」 大丈夫だよな。だって桜達がいるんだから。いざとなったら適当な理由をつけて二人から離れればいい。 「何にしようかな」 スーパーについたのはいいけど献立が思いつかない。決まってから来るべきだった。 「私はね、かに玉とか食べたいな」 「日向は食べないでしょう。そうですね、白は成長期ですからしっかりと食べさせてあげるべきですが食べ過ぎて太ってしまっては意味はありません。野菜を多めにするのはどうでしょうか?」 「野菜か・・・・・・。白はあんま食べないからな。肉巻きとかにするか」 「野菜多めか・・・・・・私は遠慮したいな」 「ですから日向は食べないでしょう」 「いいんじゃない、食べていっても。人が多いと白も喜ぶし」 「ほんとに!?」 日向が目を輝かせて言った。食い意地はってるな。帰ってからも食うだろうし。
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