第1章 日常の終わりと共に

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というわけで、もうすぐ家に着く所だ。 「春くんのご飯久しぶりだね」 「日向は少し落ち着いてください。それにしても本当にいいのですか? 食費とかは・・・・・・」 「余計なことは考えなくていいよ。一軒家に二人だけってのは寂しい時が・・・・・・あ・・・・・・るんだ」 角を曲がって家の通りに出た。だが目の前に明らかに変な人が立っていた。 オッドアイっていうのか? 両眼で目の色が違う。全身を黒い服で包んでいて俺からみて右────つまり左手に持っているナイフが蛍光灯の光を反射している。 もしかして・・・・・・あれが本物の──── 「悪魔かよ」 日向と桜は悪魔らしき人を見て固まってる。俺の体も何故か動かない。緊急事態に陥ると体が動かなくなるって聞いたことあるけど、それか? 「悪魔の魔力を感じたから来てみたが人間か・・・・・・。まあいい、少しは腹の足しになるだろう」 悪魔の眼光が光って、口からは涎が垂れる。とにかくやばい。何が起きるのかは想像もつかない・・・・・・、でもやばいってわかっちまう。そんな雰囲気を纏っている。 「逃げましょう!」 桜が叫んだ。それのおかげで体の硬直が解ける。 逃げなきゃ死ぬ! でも二人を置いてくわけにはいかない。どうする? どうすればいい? 悪魔が目と鼻の先に来てナイフを振り上げた。 振り下ろされるナイフを体をずらして避ける。危なっ! 死ぬ! 「くらえ、生肉!」 ビニールから生肉を取り出して悪魔の顔に押し付ける! よし、このまま。追い討ちをかける! 次は大根を取り出す。これなら一時的でもダメージを与えられる。 「春、逃げましょう。危険です!」 後ろで桜の声が聞こえる。こんな状況でも他人を心配してんのか。人の事言えない気がするけど、おかしいだろ。 「俺はいいから逃げろ。適当にやり過ごしたら逃げるから」 「で、ですが────」 「いいから行け! 桜達がいると邪魔なんだよ!」 少し間があいて足音が遠ざかっていく。よし、行ったか。・・・・・・さて、どうしようか。とりあえず動きは見える程度の状態で長く時間は稼げない。
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