第1章 日常の終わりと共に

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なら・・・・・・これだ! 大根を投げつける。 大根は二つに切られて武器としての役割がなくなってしまう。だけど一瞬の隙は作れた! 振り返って走る。適当に曲がっていれば桜達に出会う心配もないだろう。 後ろから炎が飛んでくる。なんだ、これ!? マッチとかそういうものじゃない。炎そのものが飛んできてる感じがする。 ナイフが足に刺さる。痛みで一瞬足が止まって転ぶ。 「無駄に手こずらせてくれたな」 視界に悪魔の足が写った。こういう時は万事休すっていうのか? 凄いピンチだ。 左手が悪魔に踏まれる。 「うっぐぅぅ、あがぁぁ!」 「男の悲鳴に興味はない。さっさと魔力を奪うか」 右手に家の鍵が当たる。これなら大根よりはマシな武器になる。完全に一か八かだけど。 悪魔に手を伸ばされる。ギリギリまで引きつけてから・・・・・・。 ベルトから鍵を外して思いっきり振り上げる! 悪魔の頬に切り傷が入った。よし、成功した。あとは逃げるだけ・・・・・・えっ? 腹に鈍痛が走って塀に叩きつけられる。 「人間が・・・・・・遊んでやってたら調子に乗りやがって!」 悪魔が手に持っている氷の斧を腕に叩きつけられる。刃がついていない方を使っているからか鈍痛が走る。 「右腕・・・・・・終了。次は足だ!」 斧が振り上げられる。俺は・・・・・・死ぬのか。 「何をやってるんだ!? ・・・・・・って春くんじゃないか!」 後ろで窓が開けられた。部屋の光で悪魔の姿が見えた。 髪が赤くてどことなく火野村先輩に似てる。でも先輩のような綺麗な印象はない。口からは牙のような物が見えていてほんとに化物って感じだ。 「チッ! 邪魔だ」 悪魔が家主の元へ向かっていく。やばい、このままじゃ・・・・・・! 「そうだ、あの紙。火野村先輩なら・・・・・・」 駄目だ、捨てたんだった。しかも体が動かない。 後ろから悲鳴があがる。くそっ! 関係ない人を巻き込んだ。死んだ・・・・・・また目の前で・・・・・・。 「あぁぁあぁあ!」 気づいたら叫んでいた。体が俺のものじゃないみたいだ。痛みが感じない。むしろ力が溢れてくる。
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