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なら・・・・・・これだ!
大根を投げつける。
大根は二つに切られて武器としての役割がなくなってしまう。だけど一瞬の隙は作れた!
振り返って走る。適当に曲がっていれば桜達に出会う心配もないだろう。
後ろから炎が飛んでくる。なんだ、これ!?
マッチとかそういうものじゃない。炎そのものが飛んできてる感じがする。
ナイフが足に刺さる。痛みで一瞬足が止まって転ぶ。
「無駄に手こずらせてくれたな」
視界に悪魔の足が写った。こういう時は万事休すっていうのか? 凄いピンチだ。
左手が悪魔に踏まれる。
「うっぐぅぅ、あがぁぁ!」
「男の悲鳴に興味はない。さっさと魔力を奪うか」
右手に家の鍵が当たる。これなら大根よりはマシな武器になる。完全に一か八かだけど。
悪魔に手を伸ばされる。ギリギリまで引きつけてから・・・・・・。
ベルトから鍵を外して思いっきり振り上げる!
悪魔の頬に切り傷が入った。よし、成功した。あとは逃げるだけ・・・・・・えっ?
腹に鈍痛が走って塀に叩きつけられる。
「人間が・・・・・・遊んでやってたら調子に乗りやがって!」
悪魔が手に持っている氷の斧を腕に叩きつけられる。刃がついていない方を使っているからか鈍痛が走る。
「右腕・・・・・・終了。次は足だ!」
斧が振り上げられる。俺は・・・・・・死ぬのか。
「何をやってるんだ!? ・・・・・・って春くんじゃないか!」
後ろで窓が開けられた。部屋の光で悪魔の姿が見えた。
髪が赤くてどことなく火野村先輩に似てる。でも先輩のような綺麗な印象はない。口からは牙のような物が見えていてほんとに化物って感じだ。
「チッ! 邪魔だ」
悪魔が家主の元へ向かっていく。やばい、このままじゃ・・・・・・!
「そうだ、あの紙。火野村先輩なら・・・・・・」
駄目だ、捨てたんだった。しかも体が動かない。
後ろから悲鳴があがる。くそっ! 関係ない人を巻き込んだ。死んだ・・・・・・また目の前で・・・・・・。
「あぁぁあぁあ!」
気づいたら叫んでいた。体が俺のものじゃないみたいだ。痛みが感じない。むしろ力が溢れてくる。
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