第1章 日常の終わりと共に

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俺は笑顔を作る。ここで死んだら白を一人にすることになる。それだけは嫌だ。 インターホンが鳴る。 「お迎えが来たよ、お兄ちゃん」 「みたいだな。準備出来たか?」 白を見ると既にランドセルを背負っていた。準備が早いな、さっき起きたばかりなのに。 「じゃあ行ってきます」 「いってらっしゃい」 白が外に走っていく。それを見送ってから外に出る。 「おはようございます、春」 「おはよ、春くん」 外には二人の女子が立っていた。黒髪で長髪、そして敬語で話したのは水無月桜(みなつきさくら)といってクラスでは男子女子問わず人気がある。頭が良く運動神経も良いから当たり前だよな。 こっちのセミロングの髪で元気がいいのが如月日向(きさらぎひなた)といってこっちもなぜか人気がある。特別可愛いわけじゃないと思うけど人気がある。明るいからかな? この二人は幼馴染みで昔からずっと一緒にいるんだ。そのせいで男友達が少ない。ていうか男子に嫌われてる。 「おはよう、二人とも。じゃあ行こうか」 学校に着いた。俺達の通う高校は鈴鳴学園(すずなりがくえん)といって一応進学校だ。でも俺が家事をやりながら通えるんだからたかが知れてるレベルだ。 「最近増えてきましたね、悪魔の事件」 「うん、怖いよね。気をつけなきゃ」 今朝のニュースを見たのか桜と日向が話している。日向はニュースを見ないから桜に聞いたんだろう。 「桜はともかく、日向は狙われそうにないな」 「春くんそれどういう意味?」 日向がむぅと頬を膨らませた。こういう仕草は白が真似するから止めてほしいんだよな。 「日向が狙われる理由ないだろ」 「桜ちゃんだってないじゃん」 「桜は日向と違ってなんでもできるし美人だろ」 突然空気が静まり返った。なんかあったのか? 「あんた、また変なこと言ってるわね」 後ろから女の子の声が聞こえた。 後ろを振り向くと薄い青色の髪をした つり目の女の子がいた。 「あれ? 由紀だ。なんでここに?」 この子は睦月由紀(むつきゆき)といって幼馴染みだ。二人と違って家が遠いけど学校が同じなこととこの辺に公園が一つしかないことで知り合いになってなんだかんだずっと一緒にいる。 「合格したのよ、教えたでしょ。あんた人の話も聞けないの?」
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