第1章 日常の終わりと共に

7/23
前へ
/48ページ
次へ
ちなみにこいつは一つ年下だ。年上に対しての敬意が欠片も感じられないだろ? 昔からこんな感じなんだ。 「高校生になったんだから敬語くらい使えるようになった方がいいぞ」 「使うわよ。あんたには使わないだけ」 昔からこんな感じだ。小さい頃から一緒にいるから馴れたけど初対面でこの態度だったら一緒にいたくないよな。 「何ボーッとしてんの?」 「ん? ああ、ごめん。なんか見とれてた」 「見とれてた!? な、ななな何言ってんのよ!」 由紀が顔を真っ赤にして叫んだ。由紀がウザくなったら適当に褒めちぎれば黙ってくれるから楽だ。これでしつこかったら最悪だけどな。 「由紀が可愛いからに決まってるだろ」 「はあ! 馬鹿じゃないの!? いきなり変なこと言わないで!」 そう言って素早く上履きに履き替えて上に行ってしまった。ほら、簡単だ。 「春、あまりあのような事を言うのは感心しませんよ」 桜がため息をついた。こういう時の桜は小言が多い。しかも対処法がないときた。逃げたら小言が増えるだけだしな。 「しょうがないだろ。由紀にはあれしか効かないんだから」 下手するともっとうるさくなるから冒険は出来ないんだ。 「だからといって思ってもないことを言うのはいけません。自分の言うことには責任を持ってください」 「一応思ってもないことでもないよ。由紀が可愛いのはほんとだし」 「なっ・・・・・・! なら尚更です。それで変な誤解を生んでしまって取り返しのつかないことになってしまったらどうするのですか?」 チャイムが鳴った。うわっ、遅刻だ! 「さっさと行こうぜ! 時間ない」 桜達を置いて教室に走る。 「こら! 待ちなさい!」 後ろから叫び声とともに足音が聞こえる。あいつらも走ってるんだ。 『二年三組、桂木君。職員室、岩崎まで来てください』 昼休み、なぜか職員室に呼び出された。岩崎なんて先生知らないぞ。 「すみません、岩崎先生いらっしゃいますか?」 職員室のドアをノックする。 「岩崎? そんな先生いないけど・・・・・・」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加