第1章 日常の終わりと共に

9/23
前へ
/48ページ
次へ
契約? 何言ってるんだこの人? 教室に戻る。 「桂木、どうしたんだよ? いきなり教室出てったから驚いたぞ。トイレか?」 男子が話しかけてきた。これといった特徴はない男子だ。俺の唯一の男友達で白泉将生(しらいずみまさき)っていうんだ。運動神経が良くて顔も悪くないんだが、本人の理想が高すぎるせいで彼女ができていない。 「先生に呼ばれたと思ったら呼ばれてなかった」 とりあえず先輩のことは隠しておこう。変に混乱を招く必要はないと思うから。 「馬鹿じゃねぇの。流石にその間違いはねぇよ」 将生が腹を抱えて笑った。こいつの様子を見てるとほんとにあの放送はなかったのか・・・・・・。じゃああの人の言ったことはほんとのことなんだ。 「なあ、悪魔ってどう思う?」 「えっ? ・・・・・・桂木、お前熱でもあるのか?」 将生の手がおでこに当てられる。男にやられても嬉しくない。だから手で払いのける。 「ないよ。今朝ニュースを見てなんとなく興味が出てきたんだ」 「ふーん、珍しいな。桂木は興味ないものは何言っても興味持たないからな」 「いいから教えてくれ。悪魔ってなんだ?」 「俺も詳しくは知らないけど・・・・・・悪魔は魔界って所に住んでるらしい。そこで毎日殺し合いをしてるって話だ」 ・・・・・・絶対嘘だ。なんも知らない俺でもわかるレベルの嘘だ。 「そういう冗談はいいから教えてくれ」 「冗談なわけないだろ。ほんとのことだよ。テレビで言ってたからな」 「それは・・・・・・信じられるのか・・・・・・?」 「研究家が言ってたんだから信じられるだろ」 将生が無駄にドヤる。毎日殺し合いか・・・・・・。悪魔だし有り得なくはないのか? 「そんなことより久しぶりにゲーセン行こうぜ。新しいアーケード出たんだぜ」 将生が新しいゲームのことを話してくれる。凄く楽しそうに話していて見てるこっちまで楽しくなる。 「悪いけどさ、家事があるから行けない」 「あっ・・・・・・そうだよな。ごめん」 将生が俺から目を逸らして言った。なんか気まずい・・・・・・。 「そうだ。そういえば将生はなんで悪魔に興味を持ったんだ?」 話を変えたかったんだけどチョイスをミスった。さっき変なことを言われたから頭の中が悪魔のことでいっぱいだ。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加