undici-2

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ぼんやりと彼女を見上げると、古川さんは肩をすくめて可笑しそうにクスクスと笑った。 「心配しなくても、傷付いた楢原さんのことは私がたーっぷり慰めてあげますから」 「……………」 「あ、お釣りはどーぞ、取っといてくださいね♪」 言いたいことだけを言うと、古川さんはクルッと踵を返してしまった。 私は何も言えず、ただその後ろ姿を見つめる。 周りの人達がチラチラとこちらを窺っているのがわかったけど、私は涙を止めることが出来なかった。 絶対に負けない……って、勢い込んで来てみたけれど。 蓋を開けてみれば、完敗だった。 彼女は私に何を言われるか全てわかっていて。 その上で、確実に私が忍くんと別れる道を選ぶように、理論武装してきたのだ。 「……………」 胸がギシギシと音を立てて、軋む。 痛くて痛くて、どうしようもなかった。 忍くんとの別れは、もちろん辛い。 でもそれ以上に私の胸を抉ったのは。 ──── 私が忍くんにとって疫病神なんだって。 頭のどこかで否定してきた真実を、真っ向から突き付けられたことだった。  
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