undici-2

21/23
271人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「………別れろって……言いたいんですね?」 目元を拭いながら、引き絞るような声で問うと。 古川さんは胸の前で手を組み、ニッコリと満面の笑みを浮かべた。 「やっと真白さん、空気読んでくれましたね! よかったぁ」 「……………」 「じゃあ金輪際、楢原さんとは会わないし連絡もしないって約束してくれます?」 さっきまでの様子とは一転して、まるで初めて会った時のような女子力の高い声になる。 私はすぐには頷かず、ゆっくりと彼女の顔を見上げた。 「それを約束したら、今回みたいなことは絶対にしないって、そちらも約束してくれるんですよね?」 すると古川さんは顎に人差し指を当て、んー、と言いながら小首を傾げた。 「別れるだけじゃ、ダメ、かなぁ?」 「………は?」 「綺麗な思い出になんてなったら困るんで。この際楢原さんが傷付くぐらい、こっぴどく真白さんから振ってください♪」 瞠目して思わず睨み付けると、古川さんはわざとらしく両手を左右に振った。  
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!