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「………別れろって……言いたいんですね?」
目元を拭いながら、引き絞るような声で問うと。
古川さんは胸の前で手を組み、ニッコリと満面の笑みを浮かべた。
「やっと真白さん、空気読んでくれましたね! よかったぁ」
「……………」
「じゃあ金輪際、楢原さんとは会わないし連絡もしないって約束してくれます?」
さっきまでの様子とは一転して、まるで初めて会った時のような女子力の高い声になる。
私はすぐには頷かず、ゆっくりと彼女の顔を見上げた。
「それを約束したら、今回みたいなことは絶対にしないって、そちらも約束してくれるんですよね?」
すると古川さんは顎に人差し指を当て、んー、と言いながら小首を傾げた。
「別れるだけじゃ、ダメ、かなぁ?」
「………は?」
「綺麗な思い出になんてなったら困るんで。この際楢原さんが傷付くぐらい、こっぴどく真白さんから振ってください♪」
瞠目して思わず睨み付けると、古川さんはわざとらしく両手を左右に振った。
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