dodici

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『でも、真白…。あなたも大怪我してるんだし……』 『いい。行く』 『行ったところで、また門前払いされるだけだ。向こうのお母さんも突然のことでショックが大きすぎて……。お前にも、何を言うかわからないぞ?』 おそらく両親の様子から、透さんのお母さんに辛辣な言葉を投げ付けられたんだろうな、と察しはついたけど。 それでも私は、どうしても最後に透さんに会いたかった。 顔を見て、ちゃんとお別れが言いたかった。 私のワガママのせいで、ごめんなさいって……。 どうしても直接、謝りたかった。 『それでもいい! だって今回会わなかったら、もう二度と透さんに会えないんだもん!』 『……………』 『私のワガママのせいでこんなことになって……それなのに、ごめんなさいも言えないままお別れなんて、酷すぎるよ……』 お母さんの腕にしがみつきながら、またボロボロと涙が溢れ出てきた。 酷いこと言われたって、全然平気だ。 …………ううん、むしろ。 いっぱいいっぱい、詰って、罵ってくれて構わない。 私なんて、もう。 ……………生きる価値もない。  
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