dodici

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翌日の午後。 病院で借りた車椅子に乗って、私は斎場へ向かった。 タクシーでそこへ向かう間、お父さんもお母さんも、沈痛な表情でずっと黙り込んでいた。 窓からチラチラと喪服を着た人をみかけ、私はぎゅっとお母さんから借りた数珠を握りしめる。 しばらくして斎場に着き、私はタクシーを降りて車椅子へと移動した。 受付の手前まで来た私は、近くに立っていた男性の姿を見てドキリと息を飲んだ。 藍色の詰襟を着た忍くんが、受付にいる初老の男性と何やら話をしている。 その顔は憔悴しきっていて、顔色もどこか青白かった。 元々あまり話をしたことがなかったうえに、何を言っていいのかと頭が真っ白になる。 そんな私の内心を図れるはずもなく、両親は車椅子を押して真っ直ぐに受付へと向かった。 『この度は誠に、御愁傷様でした』 両親がそう声をかけた瞬間。 忍くんが、ふっとこちらへ顔を向けた。 『……………』 私の顔を見た忍くんがハッと息を飲む。 私達は、しばらく無言でお互いの顔にじっと見入っていた。   
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