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『………しろ。………真白』
無のように真っ暗な世界の中で、不意に私の名を呼ぶ声が聞こえた。
何の迷いもなく、私はその声の主を透さんだと認識する。
『透さん!』
叫んで、辺りを見渡すけれど、真っ暗で何も見えない。
急激に不安に襲われ、私は手探りでその姿を探した。
その時、その手を誰かにグッと掴まれた。
その手の温もりにホッとして、私は強く握り返す。
『ここにいたの……。透さん……』
呟いた瞬間、視界がサーッと開けた。
真っ暗な世界から突然目映いくらいの真っ白な世界に、私は目を細める。
『──── 真白!!』
すぐ横で叫ぶように名前を呼ばれて、私はぼんやりとそちらに顔を向けた。
透さんだと思い込んでいた手の主はお母さんで。
何故かお母さんは、私の顔を覗き込みながらボロボロと涙を零していた。
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