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『ああ……よかった……真白……』
痛いほどに手を強く握られて、私は激しく混乱する。
お母さんの横にはお父さんもいて、お父さんも同じように泣いていて。
それがますます、私の混乱に拍車をかけた。
『透さんは……どこ?』
ぼんやりとした意識の中で、私はお母さんにそう尋ねた。
その瞬間、私の手を握るお母さんの手がビクリと大きく震えた。
その反応を目にして、私は嫌な予感を覚える。
慌てて周りの景色に目を走らせると、心電図のモニターやら点滴台などが視界に飛び込んできた。
ここって……病院?
なんで私……病院なんかにいるの……?
『…………っ』
意識を失う前のことをようやく思い出した私は、ガバッと勢いよく半身を起こした。
──── そうだ、私……。
透さんと一緒に、車に乗ってたんだった……!
後ろの車にクラクション鳴らされて、透さん車を急発進させちゃって……。
それから……。
──── それから?
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