dodici

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『透さんは……!? ねぇ、透さんは…!?』 『……………』 『無事だよね!? 別の病室にいるんだよね…!?』 お母さんの両肩を掴んで、激しく揺さぶる。 お母さんは何も言わず、目を閉じて静かに涙を溢れさせた。 横にいたお父さんが、焦ったように私の手首を掴む。 『落ち着きなさい、真白! お前だって足に大怪我をしてるんだ! そんなに急に動いたらダメだ!』 『じゃあ教えてよ! 透さんは何処にいるの…!?』 『……………』 お母さんとお父さんは、一瞬目を見交わせた。 お互いに、どうするべきか、といった困惑の眼差しをしている。 『──── 真白と一緒にいた男の子は……』 やがて、おもむろにお父さんが口を開いた。 その後時間を置いてから、透さんが亡くなった、と、聞かされた私は。 ………そのまま再び、意識を失ってしまった。  
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