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「ほ、本田さん!」
「んー?」
「あの…っ、ありがとうございました!」
ペコリと頭を下げると、本田さんは踵を返しかけていた足を止め、くるりとこちらに向き直った。
自身を指差し、ニッと笑う。
「俺、いい人でしょ?」
「…………!」
「ま、吉報お待ちしてますよ~」
最後はいかにも本田さんらしい、チャラい感じで締めくくったけど。
もう私は、それを厭わしくは思わなかった。
早足で歩いていく本田さんの背中に、心の中で何度も何度もお礼を言う。
忍くんにとって、私は疫病神なんだって思い込んでいたけど。
もし、そうじゃないって、彼が言ってくれるなら。
傍にいてほしいって、彼が望んでくれるなら。
私は彼の、傍にいたい。
どんなことがあっても、それを一緒に乗り越えていきたい。
何より、私にとって必要な人だから。
大事な、大事な、人だから。
もしまだ、少しでも可能性が残っているなら。
今の私の本当の気持ちを、全部、全部、彼に伝えたい。
──── 余計な考えも、しがらみも全部捨てて。
あなたに、会いに行きたい。
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