tredici

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涙を流しながら、古川さんは憎しみをストレートに私にぶつけてきた。 「楢原さんが二度とドルチェ作れなくなったら、どう責任取ってくれるのよ!」 「…………!」 「これ以上、楢原さんの人生を狂わせないで!」 「……っ、おい、萌!」 興奮する古川さんを、忍くんが止めようとしたその時。 「……っ、……いっ…つ」 苦痛を伴った声を発し、そのまま忍くんは右手首を押さえてうずくまってしまった。 古川さんはハッと忍くんを振り返る。 「大丈夫ですか、楢原さん! 救急車呼びますか!?」 「………いや、大丈夫」 「すぐそこに救急外来がありますから、今からそこに行きましょう!」 そう言うと古川さんは、忍くんの体を支えながらゆっくりと立ち上がった。 忍くんは、心配そうに未だ座り込んでいる私を見下ろす。 「真白さんは、怪我ないの? 一緒に病院で診てもらったほうがいいんじゃ……」 労るような声を耳にして、私は驚いて顔を上げた。  
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