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涙を流しながら、古川さんは憎しみをストレートに私にぶつけてきた。
「楢原さんが二度とドルチェ作れなくなったら、どう責任取ってくれるのよ!」
「…………!」
「これ以上、楢原さんの人生を狂わせないで!」
「……っ、おい、萌!」
興奮する古川さんを、忍くんが止めようとしたその時。
「……っ、……いっ…つ」
苦痛を伴った声を発し、そのまま忍くんは右手首を押さえてうずくまってしまった。
古川さんはハッと忍くんを振り返る。
「大丈夫ですか、楢原さん! 救急車呼びますか!?」
「………いや、大丈夫」
「すぐそこに救急外来がありますから、今からそこに行きましょう!」
そう言うと古川さんは、忍くんの体を支えながらゆっくりと立ち上がった。
忍くんは、心配そうに未だ座り込んでいる私を見下ろす。
「真白さんは、怪我ないの? 一緒に病院で診てもらったほうがいいんじゃ……」
労るような声を耳にして、私は驚いて顔を上げた。
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