tredici

18/27
前へ
/27ページ
次へ
※※※※※※※ 翌日の昼休み。 ほとんどご飯が喉を通らず、私はそっとお弁当の蓋を閉じた。 ぼんやりと、窓の外に目を向ける。 昨夜の雨が嘘のように、今はスッキリとした青空が広がっていた。 あれから一体、忍くんはどうなったのか。 気になって仕方がないのに、確かめる術がどこにもなかった。 帰宅してすぐに病院に電話してみたけれど、もちろんのこと赤の他人に個人情報を教えてくれるはずもなく。 別れた時に想いを残さないようにと、忍くんの連絡先も全て消去してしまったので、本当に八方塞がりだった。 着歴に本田さんの番号が残っていることに後で気付いたけれど、一度着信を無視しておいてこんな時だけ頼るのも気が引けて、結局かけることが出来ず。 モヤモヤしたまま朝を迎え、午前中もずっとモヤモヤしたまま仕事をしていた。 (忍くん……スゴく痛そうだった……。腫れてるって古川さん言ってたし……。もしホントに将来に影響するぐらい大怪我だったらどうしよう……)  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

268人が本棚に入れています
本棚に追加