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「忍くん、入院してるんですか!? そんなに酷いんですか!?」
「……ああ、違う違う」
噛み付くような私の勢いに、本田さんは手を横に振りながら苦笑した。
「手の方は単なる捻挫。全治十日ぐらいらしいよ?」
「………十日。……じゃあ、今後に影響とか……」
「ないない。ま、仕事は当分休まなきゃだけどね」
心から安堵したのも束の間、私は本田さんの言い方に引っ掛かりを覚える。
「手の方は…って、どういうことですか?」
「……あー、それがアイツ。病院着いたら気が抜けたのか、ぶっ倒れたらしくてさ。疲労が溜まってたうえに、ちょっと栄養失調気味だったらしい」
「…………え」
「そっちのが症状重いってんで、二、三日入院して点滴治療するんだってさ」
本田さんの言葉に、私は絶句する。
足元に目を落とし、本田さんは小さく溜め息をついた。
「あんまり飯、食えてなかったみたいだよ。……1ヶ月ぐらい前から」
「……………」
「ずっと元気なかったからさ、昨日も飯に誘ったんだよ。……で、待ち合わせ場所に来る前に怪我をした、と」
本田さんがそう話を締めくくったと同時に、私は全身が震え出すような感覚に襲われていた。
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