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気持ちが少し落ち着いてから。
私はポツリ、ポツリとあの日のことを話し始めた。
途中までは黙って私の話に耳を傾けていた本田さんも、話が進むにつれ難しい顔になり。
話し終わった時には、腕を組んでハッキリと怒りを顕にしていた。
「………それはダメだわ、真白ちゃん」
腕を組んだまま、本田さんは溜め息混じりに呟いた。
私は黙って、足元に視線を落とす。
「一人で結論出すとか、早計すぎだよ。なんで忍に相談しなかったの」
「………告げ口したと思われて、また忍くんに嫌がらせされるのが怖くて……」
「だったら俺に言えばよかったじゃん。……そもそも萌に、そんな権限ねーよ」
呆れ口調の本田さんの言葉を聞き、私は驚いて本田さんの顔を見上げた。
「…………え?」
「あのねー、そんなの全部、萌のハッタリ。何も知らないと思って、真白ちゃんに嘘ついたんだよ」
「……………」
「舐めてもらっちゃ困るんだよね。うちのオーナー、家族だからって贔屓するような甘っちょろい人じゃないし。……大体そんな店、あそこまで大きくなる訳ないっしょ」
何も言い返すことが出来ず、私はただ本田さんの顔を見つめるしかなかった。
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