tredici

23/27
前へ
/27ページ
次へ
「萌がフロアチーフだから勘違いしちゃったのかもしれないけどさ。あれはちゃんと、アイツが一番下っ端からコツコツ努力してきた結果なんだよ。……まぁ強かなとこあるけど、仕事は真面目にこなしてるからさ」 「……………」 「それに、ホントはアイツ自身が一番忍の成功を望んでるはずなんだよ。……クリスマスのことは意地になって暴走したんだと思うけど……この先も邪魔し続けるってのは、多分真白ちゃんに身を引かせる為の嘘だと思うよ?」 庇っていると思われるのが嫌だったのか、本田さんは少し言葉を選んでいるようだった。 私は涙を拭いながら、コクリと頷く。 「それは……私も昨日そう思いました」 「え?」 「忍くんが怪我した時、古川さん真っ先に言ったんです。『利き腕なのに、ドルチェ作れなくなったらどうするんだ』って」 「…………」 「その時に、古川さん本音はやっぱり忍くんのこと応援してるんだな…って思って。……少し、安心しました」 それを聞いた本田さんは、私を見ながらさっきより少し表情を和らげた。  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

268人が本棚に入れています
本棚に追加