268人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「忍の見舞い、行ってやったら?」
窺うように言葉を投げ掛けられて、私はビクリと体を強張らせる。
エプロンの裾を掴む両手が、小刻みに震え始めた。
「真白ちゃんの顔見たら元気出ると思うよ、アイツ」
「…………」
「そんでもっかい、二人でゆっくり話し合ってみなよ」
私はぎゅうっと下唇を噛み締める。
そうできたら、どんなにいいだろうって……思うけど。
………でも。
「──── 怖いんです。……忍くんの傍にいるのが」
「怖い?」
訝しげに問い返され、私は俯きながら頷いた。
「古川さんに疫病神って言われて……。でも私、それを否定出来なくて」
「………なんで?」
「だって、透さんが……忍くんのお兄さんが亡くなったのは私のせいだし。間接的にそのせいで、お母さんも早くに亡くなられて……忍くんを独りにさせてしまって」
「……………」
「昨日だって、私を助けたりなんかしなければ、忍くんは怪我なんてしなくて済んだのに……」
口にしながら、改めて涙が溢れてくる。
最初のコメントを投稿しよう!