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さっきの忍くんの言葉を思い出し、胸がぐっと熱くなる。
私はそっと、服の上から胸元を押さえ込んだ。
「それ聞いて、余計に思ったの。……忍くんを失いたくないって。私もちゃんと、自分の本音伝えなきゃって……」
「……………」
「でも、古川さんの告白聞いたら、頭が真っ白になっちゃって……」
するとハラちゃんは、再び緩くブランコを漕ぎ始めた。
ハラちゃんの吐く白い息が、前へ後ろへと流れていく。
「あとはもう、あんたの勇気次第じゃない? 伝えるか、伝えないか」
「……………」
「ホントに無くしたくないなら、人生で一回ぐらいはガムシャラにならないとダメな時もあるよ?」
私はぼんやりと、ハラちゃんに目を向ける。
「…………ガムシャラ」
「そうよ。ああなったらどうしよう、こうなったらどうしようっていう余計なこと考えずに、ただ気持ちを伝えるだけでいいじゃん」
「……………」
「それでダメだったらダメだった時! その時のことはその時考えればいいのよ」
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