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前向きな彼女らしい、凄くポジティブな言葉をハラちゃんは笑いながら口にした。
ただ気持ちを、伝えるだけ……。
それだけのことが……ホントになんて難しいんだろう……。
「──── バレンタインじゃ……遅すぎるかな……」
ポツリ、と呟くと。
聞こえなかったのか、ハラちゃんはブランコを漕ぐのをやめて、え?と聞き返してきた。
私は改めてハラちゃんに体ごと向き直る。
「今は忍くんにとって、右手を早く治すことが一番の優先事項だと思うの」
「……………」
「バレンタインならもう、怪我も治ってると思うし。……私も、それまでに気持ちを整理できるって言うか……」
ハラちゃんは黙って私の話を聞いていたけど、やがてふうっと大きな溜め息をついた。
「………それが真白にとってのベストなら、そうしたらいいと思うよ。……でも」
一旦言葉を止めて、ハラちゃんは真面目な面持ちで私の目をじっと見つめた。
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