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「…………よし」
生まれて初めて作った手作りチョコのラッピングを終え、私はふうっと大きく息を吐き出した。
今日は、バレンタインデー。
たまたま仕事が休みだった私は、朝からずっとチョコレート作りに勤しんでいた。
余計なことは何も考えず。
ただ、忍くんへの想いを込めて作った。
あれから約、2週間。
忍くんの怪我は治ったのか、もう仕事に復帰しているのか、正直何もわからなかった。
本田さんに聞きたい気持ちもあったけど、聞くとかえって色んな迷いが生じるような気がして、あえて何も情報を耳に入れないようにした。
私のタイミングは、この日なんだ。
そう信じて、今日まで過ごしてきた。
「………応援してね、透さん」
家を出た私は、空を見上げながら思わずそう呟いていた。
新しい恋をしたこと、その相手が忍くんだったことが、今までどこか後ろめたく感じていたけど。
今は透さんも、私のことを見守ってくれているような気がしていた。
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