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(やっぱりもう、お店に出てるのかな……)
電気の点いていない忍くんの部屋を外から見つめながら、私は小さく溜め息をついた。
念のために家の前まで行き、呼び鈴を鳴らしてみたものの応答はなく。
肩を落としながら、私はマンションを出た。
(ビアンカって確か……10時までの営業だったよね)
スマホの時間を見ると、9時を少し回ったところ。
ここでずっと待っているのも何となく気が引けて、私はビアンカの方向へと足を向けた。
一旦緊張が緩んだせいか、一気に寒さが全身を襲う。
マフラーで口元を隠すようにして、私はトボトボとビアンカへの道を歩いた。
店の前に着くと、ちょうど中から一組のカップルが出てくるところだった。
さむーい、と言いながら、女性が男性の腕に絡み付く。
「最後のドルチェ、美味しかったね」
「うん」
「あんな本格的なの食べた後で、私が作ったチョコとかあげれないよー」
「それとこれとは別だろ」
楽しそうに寄り添いながら、二人は私の前を通り過ぎていった。
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