tredici-2

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羨ましいような気持ちで、私は二人の後ろ姿をぼんやりと見送る。 (そっか。……今日はドルチェも、バレンタイン仕様なんだ……) 忍くんが考えた、ドルチェなのかな。 ………でもまだ復帰してそんなに日は経ってないはずだから、それはないか……。 私はもう一度、スマホの時間を確認する。 いつも帰宅は11時を回るって言ってたから……。 あと1時間以上は待たなきゃいけないよね。 とりあえずギリギリまで近くのカフェで時間でも潰そうかと思った、その時だった。 「ラストオーダーは終わりましたけど?」 聞き覚えのある、敵意のこもった声が聞こえてきて、私は勢いよく背後を振り返った。 見るとそこに、腕を組んでこちらを睨んでいる古川さんの姿があった。 私は思わず息を飲む。 「………ふ……古川さん……」 喘ぐように呟くと。 古川さんは忌々しげに大きく吐息した。  
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