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こんなに毒のある言葉を、冷ややかな声で真正面から言われたことがなくて、一瞬言葉に詰まったけれど。
負けじと私も、古川さんの顔を強く睨み返した。
「──── そんなのは、お互い様です」
キッパリと言い返すと、ほんの少しだけ古川さんは意表を衝かれたような顔をした。
けれどすぐに腕を組み直し、ふん、と不遜な笑みを零した。
「へぇ。言うようになったじゃないですか。あの時はただメソメソ泣いてただけだったのに」
「……………」
「………なるほどねぇ」
言いながら古川さんは、私が手にしていたチョコの紙袋をチラッと一瞥する。
「チョコ渡して、楢原さんに再告白しようって訳ですか」
「…………っ」
咄嗟に私は、彼女の視線から隠すようにそれを背後に回した。
すると古川さんはまるで勝ち誇ったように、クスッと微笑んだ。
「一歩遅かったかもですね」
「………え?」
「実は今日このあと、楢原さんから告白の返事貰うことになってるんです」
それを聞いた私は、衝撃で大きく目を見開いた。
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