tredici-2

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告白の返事……。 あの時の……告白の返事? 「OKならチョコ受け取ってもらうってことになってるんですよ」 「……………」 「そうなったら二人きりで甘ーい夜を過ごすんで、真白さん邪魔しないでくださいね」 言葉を失う私の前で、古川さんはわざとらしく『いけない、お店に戻らなきゃ』と言って、踵を返しかけた。 そこでもう一度足を止め、こちらを振り返る。 「待ってても無駄だと思いますけど、ご自由にどうぞ?」 「……………」 「でもここで待ち伏せだけは、勘弁してくださいね」 そう言い残し、クスクス笑いながら古川さんは店の中へと戻っていった。 打たれたように、私はその場に立ち尽くす。 古川さんの言葉が、ぐるぐると頭の中を回り始めた。 (やっぱり……遅かったの?) 後悔のようなものが胸を突き上げてきて、私は慌てて首を横に振った。 ぎゅっと唇を噛み締め、パシッと両頬を強く叩く。 後悔しないって決めたし、ハラちゃんとも約束した。 それにまだ、何も答えは出ていない。 忍くんが古川さんの告白を受け入れるとは、決まっていないんだから……。  
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