始まりの鐘が鳴るときに

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本日も快晴である。 幼馴染みと仲良く登校。 青く澄んだ空。 柔らかそうな雲に暖かい日光。 通りかかった家から聞こえる夫婦の怒鳴り声。 三毛猫がグイッと背伸びしつつ、日向ぼっこをしている。 うん、平和だな。 「何が平和よ。1つ明らかに平和じゃないの混じってたわよね?」 「はは………ふ、ふぁ。」 笑った瞬間あくびというなの睡魔がやって来た。 「寝むてぇぇぇ……」 「どんだけ眠たいのよ、昨日何時に寝たの?」 「んー、3時?」 「へー、って、はぁ!?それは最早夜じゃないわよ!早朝よ!」 正直に答えたら肘鉄された。 さっきからの連続攻撃で俺の肋骨がそろそろ悲鳴をあげている。 整骨院、近所にあったっけ…… 「耳元で騒ぐなよ、うるせー」 全く、騒がしいやつである。 いや、目覚ましにはいいのかも知らんが、鼓膜が痛い。 「もう、体壊すよ?」 「なんだ、心配してくれてたのか、サンキューな。」 「なっ……そん……なわけ、ないでしょ!」 素直にお礼を言ってやるも、顔を真っ赤にしながら俺の脇腹にパンチを決める。 しっかりとねじりの入った強烈なものが。 なぜだ? なにか悪いことを言ったつもりはないのだが。 「朝からいちゃいちゃ、ただでさえ暑いんだから、勘弁してほしいわね~」 「ちょっと、いきなり失礼だよ、京子さん。」 真咲のしぐさに疑問を感じ、首をかしげていると、前方から聞き覚えのある声が響く。 ……というか、聞きたくもない声が。 ちらと見やると予想道理、二人の人物が立っていた。 鮮やかな黒髪をポニーテールにし、気勝ちそうな雰囲気のある少女は、いちゃつくバカップルを煙たがるおばさんのようにジト目をつくっている。 彼女は高之丘高校2年B組、我らが委員長差江島京子(サエジマ キョウコ)だ。 その隣で差江島をたしなめている少年は、先日転校してきた四神拓真(シガミ タクマ)、顔の右半分をその柔らかそうな金髪で隠している変わったやつだ。
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