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話乃壱『グラビアアイドル』
「いいねー、その笑顔!!」
パシャリ!!
シャッター音を聞きながら、新人グラビアアイドルのヱミカは、次々とポーズ変えてみせる。
昔ながらのカメラのファインダー越しに、軽い感じの明るい声をかけているのは、業界ではそれなりに名を知られている写真家、笹山奇人。芸名(?)通り、けっこうな奇人との噂もあるが、腕は確かで、彼が撮ったグラビアはおおむね世間には好評で迎えられていた。
実際、被写体をつとめたアイドルたちは、グラビアの評判をきっかけにみな人気が急上昇しており、笹山奇人に撮ってもらうことは、グラドル界ではひとつのステータスのようにさえなっているのだった。
「うんうん、どんどんよくなってきたよー」
パシャリ!!
奇人の軽いノリにつられて、緊張気味だったヱミカの顔にも、いつしか自然な笑顔が浮かぶようになっていた。
「よーし、ラストワンショット、君の最高の笑顔をくれるかな?」
「はいっ!!」
奇人の声に、思わず元気な声で応えたヱミカは、能うる限り最高の笑顔をカメラに向けた。
ヱミカのグラドルデビュー 1年目は、瞬く間に過ぎ去った。
事務所の力もあって実現した、『笹山奇人の撮影で期待の新人グラ
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